人工股関節置換術と術後の痛み | 世田谷人工関節・脊椎クリニック

A. そうですね。私は患者さんには、「100%とは言えないけどほとんどの痛みは99%取れますよ」と話をしています。なぜ100%と言えないのかと言えば、術後の傷の痛みに、しばらく違和感を覚える方もおられますので。術後の傷の痛みは、たいていは時間が経てば治まりますが、傷の治りには個人差がありますから、なかには少し長引く方もおられます。 Q. 何にしても、痛みから開放されるのはうれしいことですね。 A. ええ。痛みが取れると思えば、手術を受けるモチベーションも上がりますよね。それに痛みが取れて活動できるようになれば、精神面でも内科的な病気の改善にも大きくプラスになります。そういうトータルの意味で、動けるということはすごく大事なこと。そのような関節を作るのが専門医の役割ですし、やり甲斐だと感じています。 Q. それでは、手術に際して先生が大切にされていることは何ですか? A. これはもう、安全に正確に人工股関節を設置するということに尽きます。 たとえば MIS(エムアイエス:最小侵襲手術) は、切開の傷を小さく筋肉も温存する手術のことを言いますが、あくまで私個人としては、傷は極端に小さくする必要はないと思っているんです。大体10cmくらいの傷で、安全性、確実性を高めることを最優先にしています。 Q. 手術のための切開にも適切な大きさがあるということですね。 A. はい。患者さんによって無理なく手術できる傷のサイズがあると思いますね。小柄で細身の方ですと8cm程度で十分ですし、大柄で筋肉質の男性なら10cm、あるいはもう少しということもあります。手術のアプローチ(切開方法)にしても、自分自身がより自信を持って行える方法を採用しています。 Q. 先生が採用されているアプローチはどのようなものなのですか? A. 人工股関節置換術におけるリスクと合併症 | 人工関節置換術のすべて 【埼玉県熊谷市まつだ整形外科クリニック】. 大腿骨の前側方側から入る側方アプローチです。自信を持って行え、どの症例にもほぼ対応できるアプローチ法ということで採用しています。大腿骨にひっついているここ(中殿筋:下図参照)の部分の筋肉を一部分はがして、股関節に到達、人工関節を設置し、最後にしっかり縫いつけるんです。この方法ですと一時的に筋力が落ちますけれども、術後1~2ヶ月にはほぼ元に戻りますので、私は問題ないだろうと認識しています。 Q. 筋力が回復するまでの間にやっておく方がいいことはありますか? A. 入院中に筋力トレーニングをしっかり行いますし、自宅に戻られてからのリハビリも指導しますので、それを続けていただくこと。加えて、水中歩行や自転車こぎなどもされたらさらにいいと思います。無理な負担をせずに動かしていれば、日々の生活の中で少しずつ筋力は回復してきますよ。 Q.
  1. 人工股関節置換術におけるリスクと合併症 | 人工関節置換術のすべて 【埼玉県熊谷市まつだ整形外科クリニック】

人工股関節置換術におけるリスクと合併症 | 人工関節置換術のすべて 【埼玉県熊谷市まつだ整形外科クリニック】

ほぼ健康な関節と同じになります。しかし、関節の動きに制限があることや寿命があることが違います。手術後半年から1年くらいで手術をしたことを忘れ、自分の関節同様になるようです。手術によっては、正座はできません。 Q.車に乗るのはいつからがよいですか?自転車は? 自分で乗り降りができれば、手術後1か月程度で可能となる方が多いですが、患者さんの状態により許可までの期間が変わりますので主治医の確認が必要です。なるべくシートを後ろに下げて膝があまり曲がらないように注意しましょう。自転車もサドルを高くし乗りましょう。

地方独立行政法人 加古川市民病院機構 加古川中央市民病院 にしやま たかゆき 西山 隆之 先生 専門: 股関節外科 西山先生の一面 1. 休日には何をして過ごしますか? 子どもが3人います。学会や研究会で忙しいですが、なるべく家族と過ごす時間を作っています。 2. 最近気になることは何ですか? 学生時代からずっとラグビーをしていて今もクラブに所属していますが、実戦は何年もご無沙汰しています。そのせいか体力的にも体型的にも変化が出てきたこと(笑)。ジョギングしたり山に登ったり、時々体をちゃんと動かすようにしています。 Q. 人工股関節全置換術 とはどのような手術なのでしょうか? A. 主に 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう) に対して行われ、骨頭の内部が壊死する 大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう) でも適応となる場合があります。股関節というのは体の中で一番大きな荷重関節なんですね。変形性股関節症というのは、その股関節の軟骨がすり減ってしまい、やがて変形をきたし、本来の動きができなくなったり、進行しますと痛みもかなり強くなったりしてしまいます。このような障害が生じた股関節を人工のものに換えて、痛みのない正常に動く関節を作るというのが人工股関節全置換術です。 人工股関節の材質としては金属とセラミック、ポリエチレンなどがありますが、現在はほとんどの患者さんに、ポリエチレンの受け皿(ライナー)とセラミックの骨頭ボールという組み合わせの人工股関節を使っています。ポリエチレンが進化したことで、現在では、安定した長期成績が得られるようになりました。 Q. ポリエチレンの進化とは? A. ポリエチレンは人工関節に適した素材ですが、摩耗により発生する摩耗粉が悪さをして、骨が溶けるというリスクがありました。人の体の中には摩耗粉を食べる細胞があって、その細胞が活性化すると、骨を潰す破骨(はこつ)細胞も活性化し、骨がどんどん溶けてしまう。このリスクを低減させるためクロスリンクという加工を施した超高分子量ポリエチレンが使われるようになり、摩耗しづらくなったのです。最近はこのクロスリンクも更に改良され、MPCポリマーのコーティングや、ビタミンEを添加するなどの工夫もなされています。摩耗リスクが減ると人工股関節の耐用年数も延びますね。 Q. なるほど。では、人工股関節にすることで痛みは取れると考えてよいのでしょうか?

Saturday, 01-Jun-24 00:19:26 UTC